佐々木六段 模様接点の飛躍手

  研究会指導碁佐々木六段三子局。この碁は何といっても模様の接点での

  飛躍手が印象に残っています。その一手前の画像からお見せしましょう。

右下はドライな決め

    右下の一線ハネツギは逆に打たれると比べ4目違うけどまだ序盤なので

    流石に白を厚くして損でしょう。ただドライとは言えます。

    その分気を良くし白模様大きくなりそうだと夢を描いていたら・・・

     次の黒の手があまりに絶好点で早くも夢は挫かれました。

画像に至るまでの手順

序盤の分岐点 作戦二つ浮かびました

    黒2、白3、黒4、白5と双方カカリ・ハサミ合いという珍しい序盤。

    黒10スベリが目新しい。ハネツギを保留した発想面白と感じました。

    私が採用するなら『黒2の活力を残したい』の気持ちで打つでしょう。

    ◆左上白11、13に自分が黒ならどう打つか考えてみました。案二つ。

第一案:気合の動き出し

      気合を重んじ黒1動き出しを決行するでしょう。

      白2トビなら素直に黒3と飛びます。△割って自然な流れ。

      この後白がどう動くかはわからないけど黒打てるとの自信あり。

変化図:低位に満足

     白2は様子見だが対し臆せず黒3とノビたい。ここで白4、6は

     妥協案。黒9が省けないので白10と連絡することが出来ます。ただ

     低位なので黒11とかぶせて悪い気しない。白12が必要なので実戦で

     打たれた黒13トビに回ります。これも黒良し。

第二案:左上三々占め戦う

     右下保留し左上黒1三々のほうが普通か。白2ハサミの予定でしたが

     黒3と飛ぶ。白4に黒5と要点を占めたい。白8にはじっくり黒9。 

     黒13まで示しますが簡明なので黒打ちやすい碁形だと思います。

隅実利よりも辺での位を主張

     白1サガリはハネツギを防ぎつつの様子見。対し実戦は黒aでし

     たが黒2とコスミたかった。白3にも黒4と位負けしません。

     ▲の利用法として黒イのツケが狙い。白ロなら黒ハで白地削減に

     役立ちます。ではそろそろ冒頭の飛躍手をお見せしましょう。

境界線の絶好点

    佐々木さんが打たれた手は黒1。言葉は要らないほどの名手。▲からの

    間合いが最高。この飛躍発想は感性の良さから来るものか。白からも

    白1の点が最良でした。右下カケより急務だったと思います。

絵画として残したい場面

   その後、左下にカカリ、黒ハサミ、白高両ガカリ、黒ツケと進行しました。

   気がつくと左辺も黒の勢力圏。続いて三々など定石を打つと立ち遅れると判断し

   黒模様へ消しに向かったのが実戦です。

   ◎解説はここまでとします。この盤面は絵画として保存したいほど美しい。

    右下での黒ハネツギ損が霞む感じさえするほど。

    今年ラストの研究会でも素晴らしき一手をどうぞ魅せて下さい。