黒1、白2のときワリウチされた常識だと黒1ツメですがこの局面は
白2ケイマがデカい。急所とも言える好点です。右の白二間を攻める
構想で進めていくがどこかで×辺りの薄みが気になる可能性大でしょう。
『少し遅れても厚く打つ方針を採りました』と局後に感想があったが
黒が主導権を握ったきっかけになったのが実戦の次の一手でした。
黒1カケ。この一手でした。白2、黒3交換から出切りたいが隅が心配に
なるので白4。すると利かした後の黒9オサエと最強の頑張りです。
断点切ると延々と戦いになり右の白へ影響しそう。そこで白10と右辺補強。
黒11~15は独特感覚。意図するところは右上に黒地要らない、下方面目一杯
広げ勝負作戦です。黒15で16辺りの囲いもあるけど実戦は本当に堂々。
白16は断点キリと白17を見合いにした手。対し黒17(好点)は当然です。
白18切りで攻防がどうなるかが今後の焦点。
黒1トビは形。白2~6は予定の行動です。右方面は黒にある程度与えても
左方面の黒が気になるような展開が望みでした。しかし黒7!これは予想に
なかった。白8、黒9切り合いですが黒一子取らせてもまだ攻めが利くとの
考えで柔軟。ここで白長考。白10は5分は考えたと思います。実戦の黒11、
黒13は希望通りで白14アテとなりサバけそうな感触。黒13は黒14サガリの
方が調子突かず嫌でした。黒7と白10で別の手はどうだったか検証します。
黒1とツグ選択肢もあったと思います。白2は許すけど黒3と守る。
右一帯が全部黒地なら満足でしょう。ただ中の白に余裕あるので白4と
一本は工作します。下辺白一子気になるので今なら黒5でしょうか。
そこで白6と進出します。黒打てぬことないけど地を稼いだため左側白aを
狙われる。それと右下白4は二線ハネからコウ味など利用法ありそう。
地としてスッキリしないし攻めが途切れるのでY氏は前図を選んだのです。
ノータイムなら白1ゲタですが黒2、4を利かされ一眼しかない。白7で
死ぬことはないけど 黒8ハネが名調子。白は憂鬱な展開。
さてこの碁ですが下辺で先ず先ずのサバキ得た後、白が大勝負を仕掛け
ました。結果的に成功したのですが黒がコウを選んでいたらどうなったか
検証し終了したいと思います。
数手進んだ後、白△を逃げだしました。一歩ミスすると負けになる手だが
懸命にヨンで成算ありとの決断です。ここが分岐点でしたが黒1アテが
実戦。白団子で裂かれ形になるけど白4と逃げては黒が持て余している
ようです。続いて黒a、白b、黒c、白dは必然だが左の黒一団のほうが
×弱点あり負担度重い。右の白は弱そうに見えるけど白イと■を抜く手が
下の黒へ利く。黒ロなら先手一眼。意外に強いのです。白が良くなりました。
なので黒1で一発コウはどうだったか。検証します。
予想していたのが黒1アテ。取りあえず無駄無い白2、黒3を決めて
どういうコウを選ぶか。白4アテが最上のコウ仕掛け。黒a抜きで
黒取り番のコウですが右上隅に白bとコウ立てします。右上は白から
無数にコウ立てあることとこのコウに黒が負けたら白×分断まで残るので
黒はコウを解消することになるでしょう。《振り変わり優劣》は果たして。
コウの振り変わりですがこのようになった可能性大。コウに勝った黒利益
凄いけど右上隅黒×は全部取られ大きな白地です。ただ地合い数えましたら
現時点の黒地は合計65目優にある。白地は60目なさそう。
黒先手なので黒1と仕掛けたい。以下都合良き想定かもしれないが黒7攻め
も利点で黒打てると思います。当初は右上隅を取れたら白良しとみたけど
実際に図にすると全然感じが違いますね。
◎今回も難解箇所多く難しい碁でしたがとても充実した指導碁となり感謝。
お疲れ様でした。また次回を楽しみにしています。