独特で洗練されたサバキ・捨て石感覚を持つ石原氏は個性ある棋風。
本局も激闘となりました。今回序盤を紹介します。
黒2・4・6は穏やか。黒8は現代で人気上昇した『二刀流構え』
白5ヒラキで前は一路左が左右バランス的に良しとされていたが
最近は左右同型中途半端と見る方が多くなってきています。
出ました!石原さん18番のツケ!この場面でも良さそうな手です。
左上黒1受けはその部分の無難手。ただ白2と仕掛けられます。黒3
から黒5まで想定例ですが白6囲いが黒の攻めも見て調子良し。
実戦の下辺ツケ先制仕掛けの気持ちわかりますね。ただ昭和的なら
黒1で黒5トビで右一帯の拡大でしょうか。
黒頭ツケに白1と左からハネると黒2ハネ返しが来る。白3、5で
シチョウ白良しだが黒6、8と追いかけながら黒12まで連絡され
隅の白×が弱くなるでしょう。この図は嫌だったので・・・
白1、3と大人しく隅を地にしました。一応は25目強です。ここで
黒×とツグようではあまい。『キカシた石は軽、捨てやすい』が鉄則。
黒4が実戦。左下白の攻めに役立てサバこうとの意図。賛成です。
初手から手順掲載しました。黒12ツケから黒22まで美しい流れですね。
白イなら黒ロで良き継続手が見えない。いったん休憩し左上両ガカリ。
黒14カタが良き対応。白15、17は策手。黒イなら白ロで白好形だが・・
黒1、3がこの場面では最適。隅を捨てにくいので白12まで必然です。
ここで黒13が惜しい。普通は先手で白aとなりますが白14が大急所。
対し黒16ノビなら安全だが(次図)さらにオシを打たれます。キカシ・
キカされに鋭敏な石原さんは耐えられないので黒15ハネだが白16切りが
入り味悪く白22に黒の頑張り対応あるけども暗雲立ち込める展開です。
黒1ノビだと黒5までとなり白6へ回られます。黒7と軽めに逃げる
くらいだが白8と打たれると左辺30目(隅は未定)程度では戦いに
弱そうな碁形。この図拒否した気持ちわかります。遡って・・・
検討で黒1マゲが良かったと伝えました。白2となるが黒の次の手が
今見えました。それは黒3カケです。白4に黒5ノビで黒×三子を
捨てる作戦。カケは白aを黒bで無効にしています。厚み背景に続いて
黒イに回れば白△は相当苦しい。上の黒三子の取り方によっては右上の
黒A・B・C方面が良き模様になる可能性も。石原さんが好きそうな図。
◎お疲れ様でした。長南さんとの対戦も増えて切磋琢磨しさらに腕を上げ
ますように。良いお年をお迎え下さい。