Y氏中盤:最強手とヨミ力

 研究会参加されたY氏ですがその日の対局棋譜を記録され送ってきたのには驚き。

 置き碁でも心込めて打たれている証拠。まだ拝見していないがそのうちに。

 来月の下地会大会Aクラスの優勝候補。その強さの一端をお見せしましょう。

左下でコウ争い勃発

  下辺黒ツケは好手でした。ここまで黒にうまく打たれています。左下で黒が

  最強サバキのコウを選んだところ。黒がコウに勝つと左下白危険になるので

  白は負けられないコウ。黒1出はコウ立て。白2受けに黒3コウ取り。

  白コウ立て番だが右辺にあり。ただしコウ立てには細心さが大事でした。

最善のコウ立て白1

    実戦は違う手を打ったが白1が正解でした。切り防ぐ黒2なら白3の

    コウ取り。続いて実戦と同じく右上コウ立てならかなり違いました。

    断点受けずに左下コウ解消は白2切り。右辺黒六子取る出入り約25目と

    +中の黒一団弱石となり大きい。全体を俯瞰すると白が厚い碁で

    黒のコウ立て少ない。なので白は損しない一コウで良かった。

実戦進行

        白1切りの方が黒2の後に白コウ立てが後三つも増える。

        左下コウ争いに勝てると即断して打ったが敗着に近い。

        前図と比較を。白はコミ分くらい損しています。

        黒4コウ立てに白5コウを解消。連打は黒イか黒ロか?

予想は黒1

        黒1を予想していました。これで隅は黒地です。その時は

        白2と黒一子動き出し封じつつ左上白地を膨らませる。

        下辺黒3、5が大きいが白6連打も相当。後半勝負と

        見ていたが右辺の白三子持ち込み大きく黒が地合い良し。

        黒1を選んでも良かった。Y氏は隅の白を生かし左に

        利得求める道を選択。最善だったかは微妙。その理由は

  黒3まで実戦白4と捨てるのは如何

           黒1左ツギは驚き。隅は白2で生き手段あります。

        実戦は生きたけど・・・冷静な白4が最善だったか。

                             黒5は出入り約25目と大きいが下辺白6に回れます。

        黒に打たれるのと比べ白8、黒9まで先手で10目は得。

        白10に回りヨセ勝負に賭ける。でも捨てにくかった。      

黒強手炸裂

        中の白はシノギあるので形勢好転を信じていました。

        黒1ノビで右の25目以上の利益あげられるかが勝負。

        白地は減るが黒地さえつかなければと白6まで進んだ

        ときについに出ました、黒7、9が強烈パンチ!

        その前の着手で喰らわない方法あったかもしれないが

        下に黒厚みあるので贅沢なシノギは危険伴う。以下

        黒15まで必然。ここで最強白イ妥協ロかの分岐点。        

捨て石策・果たして形勢は?

         白1、3なら一団は安全。でも黒2で中の白三子は

         動けなくなる。次に右を黒がどう受けるかだが仮に

         黒後手でも成果上がっています。左上の白模様は

         相当減り中に黒地かなり期待出来ていますから。

         足りないと見て実戦は勝負を選択。

実戦

        白1、3動き出しを選択。攻め合いも含みますが白に

        良い図ありと。しかし黒6オサエが最強最善。

        参った。白7動き出しには黒10、12が丁寧で手数伸びる。

        攻め合いは白が勝てません。この後白イ。ロと右辺黒を

        代償で得たけど白×取られは大き過ぎ。黒勝利です。

 

         ◎不利や危険な場でも妥協せず最強手段をモットーと

         される方。直ぐに安全策で地合いで勝とうとはしない。

         それはその部分は損しても次の勝負が必ずあるとの信念。

         正確なヨミ力支えも大きい。以前より柔もこなされ逞しさ

         増しています。大会出場者には猛者たちたくさんいるので

         熱戦局が今から楽しみ。お疲れ様でした。