この碁は立ち上がり大損されます。互先ではオワなので白は楽勝気分に。
でもハンディある三子局。払拭し進めていたが損の反対側は別人のような
石運びで強い。そして前半の冴えなく見えた黒二つが活用石へ変貌します。
魅力ある個性と不思議な強さ、どうぞご覧あれ。
あまり賛成はしないが黒10ツケはある手。白11ハネに
黒13ノビ選べばシノギ道だが序盤で良い感じはせず。
そこで黒12ハネはサバキ目的で同意です。ただ実戦は
『亀の甲の尻尾付き』という粗い捨て方。加藤さんも
失敗を悔やまれていました。次の図を。模範捨て石策。
黒1上ノビが良い手。白2が最善だがここで注目です。
何もせず、決めず黒3大場へ。黒×先手利きを残します。
放置は不気味と白4補強か。そのときは黒5など下辺へ。
▲取られ損しているが大場二つ回れたのが利点。参考に。
左辺は見たくない白▲抜き跡。側による黒Aは疑問。
上辺を止める黒Bも白×あり薄くケイマなら普通か。
急いで咎める必要もないので下辺にワリウチしたら・・・
黒Cボウシ!この手は黒AやBを活用したい気持ちの
表れです。対し白は二間ヒラキぐらいでした。実戦は
魅入られたように戦いへと導かれます。
白1は好きな手。黒a受けならキカシた感じだが黒2が
強い受け。白3ツケは活用だが黒4、6分断が厳しい。
黒12まで全て的確。白13は軽くとの意図だが黒14カド。
黒2と14共にカドですが重くしたいときに有力です。
白1は上をオシて二子捨てるべき。繋がったが黒4まで
全体がかなり重い姿。白5~11は殴りこみ・居直りだが
黒14まできつい対応で眼形を与えません。白15逃げに
黒16と食いつき右辺は良き黒勢力化。この時に気づく。
序盤の黒AやBが白の攻めに役立っていること。それと
黒▲も厚みの顔をしています。白17ツケコシには・・・
「ツケコシ切るべからず」黒1が正解。ここまで序盤
左辺の失敗を全く引きずってなく石が伸びています。
黒7が惜しい。切ったため白8~12でシノギの目途が
ついて安堵しました。黒7では・・・
黒1ノビ対応だとどうしていたか。白2になら黒3。
左へは連絡不可。下の白へも影響。苦労していたでしょう。
追及止めると思いきや黒1ワリコミ。一見無理っぽいが
白2~黒11となり次に白19分断は上の白へ障って来る。
損せずのシノギを白12へ求めたが黒13から防御兼ねての
攻めが見事。黒21で右辺連絡しています。「仕方ないな
一つだけキカシ。」と白22と打ったときに黒×サガリ残念。
黒1ツギが最善でした。白2、黒3となるが白イは
黒ロで不可なのでどうしたか。何も打たずだと黒×で
眼形奪われかなり危険。白×なら下辺黒ハを決めて
右上黒Aか左下黒Bか。黒リードしていたでしょう。
実戦は黒1。白2捨て石利用され白10まで黒二子を取って
シノギとなりました。黒19で右上は黒地にし右下白20にも
踏ん張ったけど左下白32に回られ追いつかれたようです。
検討で「下の白に何かないかな。」との質問ありました。
『ぎりぎり耐えている。』と答えたが・・・検証してみます。
◎お疲れ様でした。次局は序盤も丁寧に。
風薫る五月は爽やか加藤流会心局を。期待しています。