加藤六段三子局~不思議と役立つ配置石

    この碁は立ち上がり大損されます。互先ではオワなので白は楽勝気分に。

    でもハンディある三子局。払拭し進めていたが損の反対側は別人のような

    石運びで強い。そして前半の冴えなく見えた黒二つが活用石へ変貌します。

    魅力ある個性と不思議な強さ、どうぞご覧あれ。

 いきなりサバキ黒16、18では不可

                           あまり賛成はしないが黒10ツケはある手。白11ハネに

        黒13ノビ選べばシノギ道だが序盤で良い感じはせず。

        そこで黒12ハネはサバキ目的で同意です。ただ実戦は

         『亀の甲の尻尾付き』という粗い捨て方。加藤さんも

        失敗を悔やまれていました。次の図を。模範捨て石策。

捨て石なら打てる(将来への視線)

        黒1上ノビが良い手。白2が最善だがここで注目です。

        何もせず、決めず黒3大場へ。黒×先手利きを残します。

        放置は不気味と白4補強か。そのときは黒5など下辺へ。

        ▲取られ損しているが大場二つ回れたのが利点。参考に。        

下辺黒がボウシした場面

不思議な佇まいの三着A・B・C

        左辺は見たくない白▲抜き跡。側による黒Aは疑問。

        上辺を止める黒Bも白×あり薄くケイマなら普通か。

        急いで咎める必要もないので下辺にワリウチしたら・・・

        黒Cボウシ!この手は黒AやBを活用したい気持ちの

        表れです。対し白は二間ヒラキぐらいでした。実戦は

        魅入られたように戦いへと導かれます。

カドは重くする有力手

        白1は好きな手。黒a受けならキカシた感じだが黒2が

        強い受け。白3ツケは活用だが黒4、6分断が厳しい。

        黒12まで全て的確。白13は軽くとの意図だが黒14カド。

        黒2と14共にカドですが重くしたいときに有力です。

重い姿・黒好調

        白1は上をオシて二子捨てるべき。繋がったが黒4まで

        全体がかなり重い姿白5~11は殴りこみ・居直りだが

        黒14まできつい対応で眼形を与えません。白15逃げに

        黒16と食いつき右辺は良き黒勢力化。この時に気づく。

        序盤の黒AやBが白の攻めに役立っていること。それと

        黒▲も厚みの顔をしています。白17ツケコシには・・・

一着あまい手。連絡か・・・

        「ツケコシ切るべからず」黒1が正解。ここまで序盤

          左辺の失敗を全く引きずってなく石が伸びています。

          黒7が惜しい。切ったため白8~12でシノギの目途が

                               ついて安堵しました。黒7では・・・       

ノビ対応だと相当苦しかった

        黒1ノビ対応だとどうしていたか。白2になら黒3。

        左へは連絡不可。下の白へも影響。苦労していたでしょう。

勇猛なワリコミ分断

        追及止めると思いきや黒1ワリコミ。一見無理っぽいが

        白2黒11となり次に白19分断は上の白へ障って来る。

        損せずのシノギを白12へ求めたが黒13から防御兼ねての

        攻めが見事。黒21で右辺連絡しています。「仕方ないな

        一つだけキカシ。」と白22と打ったときに黒×サガリ残念。

ツギ最善・黒有望

        黒1ツギが最善でした。白2、黒3となるが白イは

        黒ロで不可なのでどうしたか。何も打たずだと黒×で

        眼形奪われかなり危険。白×なら下辺黒ハを決めて

        右上黒Aか左下黒Bか。黒リードしていたでしょう。    

後半強いと再認識

       実戦は黒1。白2捨て石利用され白10まで黒二子を取って

       シノギとなりました。黒19で右上は黒地にし右下白20にも

       踏ん張ったけど左下白32に回られ追いつかれたようです。

       検討で「下の白に何かないかな。」との質問ありました。

        『ぎりぎり耐えている。』答えたが・・・検証してみます。     

    検証:鋭い黒1ハネ。白4は危険で・・・

これは大事件コウか半分取れる

白4が冷静な受け・事件無し

         ◎お疲れ様でした。次局は序盤も丁寧に。

          風薫る五月は爽やか加藤流会心局を。期待しています。