Y氏会心局

   13日の朝9時前に設定したら前日のY氏から申込み。感謝です。

   手合より早い開始の真剣指導碁開始。本局はY氏の中押し勝ち。

   まさに会心局でした。先ず白の猛反省場面を画像でお見せします。  

白番:▲にどう打つのが良いか(構想が大事)

実戦図:中央消滅白悪し

   これが実戦経過。中央が雲散霧消し白勝ち辛い碁となっています。

   右下でナダレ定石を選んだことが不適切だったと反省。皆さんなら前図で

   白がどう打つか構想を描いてみて下さい。今はいくつか浮かんでいます。

   出題図に至る手順は次に。

序盤棋譜

       

下地第一案

        下ツケに白1とオサエ、黒2のとき中央重視したいとき

        白3という発想あります。この手は切りをボカシここは

        軽くとの意図。黒二線ハネなど地はあまいが昭和では

        時折見かけました。ただし黒から常に薄みを狙われる姿。

        知識では知っていても使いこなした経験は少ないです。

        ◆実戦よりは夢と志あると思います。   

第二案

           白1オサエだけでそこは手抜きし中を打つ発想です。

        その場所が難しいが白3が浮かびました。上に白厚みが

         あるので天元より下へ配置。手抜き咎めて黒4へ切るか。

         部分的に白不利。ただ中が大きいよと白5などさらに

         囲う。正直囲いで勝つのはコミ無しの碁でもあるので

         自信ない。ただ黒が消しに来るなら何とか戦いに導く。

         定石にない攻防が始まれば白にもチャンス来ると思います。

第三案

         打って見たかった手は白1ノビです。黒2にも白3と

        ノビる。黒4まで部分的に黒へ実利与えるが・・・

        小さく囲わずに白5と最大に広げたくなります。左下の

        黒ノビが光っているけども次に黒がどこに打つのかを

        見て作戦を練るという構想。上辺押しつけ模様で勝負して

        いるので石の流れは合っていると思います。では実戦へ。

実戦:小ナダレ戦闘定石開始

        囲いより戦いで中央の白厚みを働かせ活用したいとの考えで

        白1、3ナダレ定石を選択。黒4はノビなど避けることは

        可能だがハネは気合。一応白17までは想定通りの進行です。

        ◆実はかなり前に同じ形をY氏と打っています。その時は

        続く打ち方を白が失敗。今回はその碁のリベンジもしたいと    

        ちらり浮かびました。次に黒は隅を取るのが定石で・・・ 

       

予定図:黒1守りに白2カケの進行

         隅白二子が気持ち悪いので黒1と味良く取るのが定石。

        その時に白2カケを打つ予定でした。対し二子動くなら

         黒イか黒ロ。黒×は不可(後の図で)Y氏は黒▲二子を

         捨てるだろうと予想。でもそれなら白厚く悪くない。

                             ところが凄い手が出ます。常識的には悪い手だが・・・ 

カケの希望例

        凄い手の前に予想図の後の私のヨンだ希望図を。

        黒1ツケには白2、4と打つ。黒5切りから黒7と

        脱出されるが白8とシボる。戦いが続きますが団子に

        すれば白打てるはず。黒7で黒aアテが最強だけど・・・

コウ立て白強く黒潰れ

        黒1アテは白2とコウを挑む。黒3抜きに白4コウ立てが

        あり黒困るはず。盤中見渡しても黒から有効なコウ立てなし。 

捨て石作戦で白やれる

        黒1、3は考えられます。その時は二つの捨て石策が

        ありどれを選択するか検討する予定でした。一つは

        アッサリの白4アテ。黒5なら白6、8で処分。もし

        黒aなら白b。これは白が勝ちそうです。

        ただ黒5で6の左へ飛ぶポン抜かし策あり。なので   

大胆捨て石作戦

        黒1、3には白4ツギが有無を言わさずの捨て石策。黒5~

        黒19まで必然となります。そして次が肝心ですが・・・ 

梶原先生のコメントを伺いたい図

       「えい。」と白1。中に手をかけたいです。黒2には白3。

        黒4なら右下に黒地45目出来ますが白5カタ!

                          白100目勝ちとは言えないけどこれは白雄大で。

       もちろん黒2は白模様を消しに向かいますね。でも捨て石作戦

       有効なのは間違いなし。

      

これはシチョウ

        黒1、3は無理。白4でシチョウ。蛇足ですが念のため。

        ここまで右下でナダレ定石を選んだ理由、私の描いた構想

        ヨミというか妄想を紹介しました。

        ところがY氏はそれを看破したのか凄い手を繰り出すのです。

        

白の構想を見破った奇手

        普通の方ならノータイムで黒Aでしょう。考慮されて

        打たれたのが黒1鼻ヅケ!驚きの一手です。

        しかし白の希望・描く構想を壊す素晴らしい一手でした。

        右辺に関し裂かれ形になり損ですが黒二子への白カケを

        拒んでいる手なんです。

      

実戦進行:白嫌な展開に

       白2と出るよりない。裂かれ形で黒1は悪手ですが黒3と

       取る。ここで3分以上白長考。しかし良い手が浮かびません。

       白4は本意ではない手。黒5、7と調子に乗って来ます。

       黒7は外へ進出するための有効打が目的。

       大事な中央へわざわざ黒に侵略させる進行。黒一団が弱ければ

       良いのですが堂々と威張って進まれていくのです。

       白4で本来打ちたかった中のカケは・・・

       

黒ツケと白出の交換が黒のポイント

       それでも白1カケだったか。でも黒2,4とされるでしょう。

       前の黒イ、白ロ交換は黒のポイントになるのは間違いなし。

       でも実戦のように中へ追い込む進行よりは大きく捨てた方が

       勝負になっていたかもしれません。

        

お見事です

       実戦です。黒×を捨て石にして自然に中央へ進出されています。

       序盤で打たれた▲が笑顔ですね。右辺黒×はどう調理し食べても

       美味しくない。ここで勝負あり。お見事でした。

       ◎当分右辺の鼻ヅケは頭から消えません。常識に捉われない

        発想で本当に素晴らしく感服しました。ではまた次回に。