お待たせしました。5日の幽玄の間指導碁残り二局の解説を始めます。
S氏三子局から。この碁は終盤微細。結果は1目勝負となりました。
左上白19まで互角。先手得て右下黒20シマリはSさんの定番。
左下は白27までが定石ですが黒28に隙は残さない与えないとの
強い意志を感じました。白29に黒30は白二間ヒラキが注文です。
それは面白くないので右上白31ツケ。黒に手厚い対応を期待しが
白33オシに相手せず黒34が気合の打ち込み。白35に黒36守りでは
別の道もありました。白37ツケはサバキ手。黒どう対応しますか。
その前に・・・
黒1、3が手厚く良い場合ありますが本局配置は問題。
白4ヒラキが絶好。上辺白も治まっているので黒5と
黒一着欲しくなるが左辺白6の大場を囲われてしまいます。
地合い差はかなり縮まっていて黒が勝つのはしんどい。
◆S氏は右下隅守りの顔を立てて・・・
黒1。ここまでじっと動かなかったS氏、渾身の打ち込みです。
黒Aに△補強しなかったことを咎める。私も選びます。
白2ノビにどう打つか。ここも分岐点でした。
碁にはいろいろな考え方があります。絶対が少ないことが
魅力。なるべく自分の棋風にあった展開にしたい。この図は
私の棋風で右下黒1は最高の頑張り。△置いてけぼりですね。
問題は右上。白2で黒苦しくなれば良くないけど黒3、5と
外へ向かう。白6には黒7、9で白を攻める気持ち抱き進出。
黒×は打たず弱気見せない姿勢が大事。参考に。
黒1のハネは切れば黒良くなるが白2とオサエます。
白8まで想定。黒が影に近づく戦い。白aのほうが強い。
この譜で双方に疑問手・悪手が出ました。黒9と白20です。
右辺ハネて黒一子捨て石策良かったが黒1戻りを急ぐべき。
白2に黒3ピンツギとなり後手でも厚い。白4の点は喜んで
黒5とノビる。白4は不可。ならば黒も急ぐ必要なかった。
自然な白1トビなら中の黒はお荷物となっていました。
下の黒地囲う余裕ないし囲われても良い。白大反省。
「やばい。」と思ったが時すでに遅し。黒1、3出切り。
困りました。中の黒を取れば良いとはいかない状態。
今度は白の分岐点。白イのツギか白ロのオシか。
普通は白1ツギだが黒2オシで処分して来る。白3~5は
仕方ないがなおも黒6オシ。白11まで黒×数子得た白地は
30目超えるけど黒12と拡大され下一帯膨大な黒地となる。
境界線譲ると負けなので仕方ないと・・・
白6とオシました。ここで痛恨の一手黒7ノビが残念。
白8ツギと戻られ今度囲い合いすると境界線一本が大差。
仕方なく黒9と助け白10に黒11もやむを得ない。この手で
中を逃げれば安全だが白11と叩かれては黒3・5・7が
泣いてしまう。白12となりシノギ勝負だが苦しい展開に。
普段ならS氏黒1と切っていたでしょう。白2ツギに
注目は黒3。ノビて地を増やさずにこれから始まる
中央の戦いで頑張るため力溜める戻しです。
白4は下に利かないので悠々黒5と進出。白6は黒7。
序盤の鉄壁▲に白が近づいてきました。S氏の攻め力
フルに発揮していたと思います。惜しかった。
◎お疲れ様でした。今年もよろしくお願いします。