浦安碁会・笹田氏二子局

    本局も険しく難しいヨミ場面ありました。先ず後半勝負所の画像を。

左上黒一団のシノギ黒先でどうなるか

  左上の黒一団は相当苦しいはず。コウかな、生かしても良さそう。など私は

  楽観していた場面でした。笹田さんは五分以上長考。真摯にヨマれていた姿が

  とても印象に残っています。結果どうなったかは後半で。

下辺カケに対し黒は二つの考え方あり

        現代は小目に対しカケ決めるのは打ち得とされています。

        進行してからカケだと出切りされる可能性が生じるので早めに

        補強も兼ねてとの意図。また戦いやシチョウアタリにも役立つ。

        進行し白17カケと下でお返しです。もしこの手が良い手なら

        黒14では黒aの二間バサミが適切となります。続いて・・・

攻め目的の『這い&ケイマ』

       黒1~白4まで定石ですが黒5ケイマに注目。この手は右側

       厚きとき採用。白6補強なら黒7と構えて白全体の攻めを伺う。

       実利もあり打てますね。黒5で黒イ、白ロ、黒ハは白強くなり

       冴えません。この図は一押し。

 実戦:右下は平気と左下で地を稼ぐ

          『右側のカケた黒は心配ない。左下で実利を』それが黒1の主旨。

         白2オサエに黒3で一級の稼ぎです。白4と詰めて攻め主義の

         私は満足したが黒5!これは厚い補強でAI的。

         前の図と真逆だがバランスは取れている感じしました。

           さて左上へと移り黒11まで普通進行に思えたが黒9では・・・

反発有力

        黒1ケイマ反発が良かった。白2出は黒3と打ち黒×を

        差し上げ△をターゲットにします。左下黒イ・ロ配置も

        捨て石策の後押し。白2で・・・

変化:黒連結・白浮石で満足

        白2オサエなら黒3と戻します。白4は根拠で大きいけど

        黒5ブツカリが好手。黒7と連絡してしまえば白浮石。

        元々上辺は白から打たれた箇所。なので黒満足です。

キカシ目的の中二間トビが発端

        数手進行し黒1と中二間。直感は虫が良い手に映りました。

        それは白aを希望し黒bだから。▲取り込んでも回りの

        白×が凝り形気味。そこで白2反発。白希望は黒イ~

        白二の分断。ところが予想に反して・・・

    分断後、次の一手黒イ、それともロ?

        異筋の筋。黒3~7は気づかなかった。白8、10の

        防戦止む無しならば姿形良く黒成功です。黒11では12に

        守りもあるけど黒11は正々堂々でカッコイイ。これは

        頑張るよりないと善悪は別として白12打ち込みです。

△二子分断し戦うところ

        黒1と二子分断する一手でした。白2とサバキに向かうけど

        黒3と応じ楽はさせない。白が右上で生きるような展開なら

        先手取り黒aと割りましょう。上の白の攻めと下辺黒bの

        寄りつきも楽しみ△は要石だったのです。

実戦:要石の影響と余波

        黒1は白2の厳しさ軽視されたか。捨てても右上黒実利大きく

           打てると見たのか。確かに黒13 で先ず先ずの黒地だけど・・・

        白10と種石▲取られたことで先ほどまで元気だった中の黒が

        気になり黒11、白12の交換は相当地が損。弊害は左上黒×一団

        にも影響、白14で攻められる展開に。前図との差は大きい。

 実戦:コウは成功・ただし形勢は苦しい

         熟慮されて黒1、3は最善です。普通では眼形不可。

         黒5まで何とかコウになっています。白はコウを仕掛ける

         のもあるが中の黒へ寄りつきで生かし良さそうです。 

         実は取りに行く予定でした白4のツギでなく・・・

逆ツギだと味悪だが仕留めていたかも

           白1をヨンでいました。黒2には愚形ですが白3眼取り。

        黒4には白5でコウでなく無条件取りを目指す。心配なのは

        中の切りですが白7、9で支えていそう。なお黒イ、白ロ、

        黒ハの切りは白二で何事も無い。久々に一本勝ちだったかも。

棋譜

       白が仕留める手を選んでもしお化けが出ると逆転になります。

       本局は右上種石が大要石黒はそのために左下で地を稼がざるを

       得なくなり左上一団の危険は仕方なかった。

       ◎良くなった瞬間は本当に怖い。『好事魔多し』ですね。

       来月は今この碁を忘れるくらいの白熱内容を期待しています。