伊東氏・切りへの思い入れ

     浦安碁会遅れてすみません。伊東氏二子局です。本局で感じたのは

     伊東さんの『決めた石に対する思い入れ』です。その強さに技ありを

     取られました。では序盤から。先ず画像を。  

外進出か治まるかの分岐点

        黒は二子利用しツケで外へ進出も可能。隅で早治まりも

        選べます。伊東さんが選んだのは・・・

白一子動き促す積極的カカリ

        左下は令和になり増えた両ガカリ定石。左辺白13ヒラキに

        黒15コスミなら堅いが右下黒13カカリは動いて下さいとの

        積極策。以下白は黒16・18の損が美味しく、黒は黒24が

        黒14と相まって好形で嬉しいとの主張。私の見解では少し

        白良しのムードでした。力関係は白が強く見えるので。

切りへの想い込めた二間

        黒1ノビは早治まりで打つ方針。黒11までとなりました。

        黒3~7切りまで決めたのは伊東さんの想いです。必ず

        このキカシは役立つ、損にならないとの決意。微妙ですが

        決めた時は後悔せず信じることは大事。ちなみ私だと黒5

        白6は決めるが黒3、白4は保留しそう。他の味あるので。

        ※ただし後から打つと利かない恐れ当然あります。

無難な早治まり案

        左上白カカリに左辺白△が堅固なので戦うところでないと

        判断し黒1、3(三羽烏)など安定を目指すのが普通。

        でもこれだと黒A活用は遠いとの判断だったようです。

双方の思惑

        手数進行した所から。左上黒×がやり過ぎたようで黒一団が

        攻め立てられています。白は厚み活用し気分良し。黒1と

        逃げた時に。黒A存在が気になりました。白イとアテれば

        堅いけど黒はシノギにA役立ったと考え一団を黒8と進出 

        するのが目に見えています。

 

        白2、4は白の整形だが黒5に黒石が来たので良いかは微妙。

        白6は攻めながら白イを省こうという欲張った考え。白18まで

        予想通りの進行です。次に黒aハネだろう、白Bと受けて悪く

        ないと。それは白の勝手ヨミでした。その中身からお見せします。

白の勝手ヨミ図

          黒Aを動くなら黒1だろうそれは白2ハネで有難いとヨンで

          いました。黒3には白4切りから白8まで分断されません。

        結局黒9ハネくらいだが白10と形を整えます。白一団は弱く

        なく厚い。黒11の補強なら白12と大場を占める・・・

        虫が良い想定でした。伊東さん満を持して凄い手を放ちます。

豪を含む手

        黒1。「ん。」何だろうが第一感。「ははぁ白aと打たせて

        黒b急所に打つつもりだなと推察」軟弱な手に見えたので・・・

豪手炸裂

        ノータイムで白2。しかし次の手黒3!まさに豪手です。

        即白4とアテたが黒5とツガれ愕然。分断出来無い。

        白×一団が凍りついた瞬間です。黒1・3をヨンで打てる

        方は只者ではありません。白大ピンチです。

捻り出した手

        他の二面は長南さんと宮島さんの二子局どちらも気が

        許せない内容でしたがこの場面では伊東さんとの碁に

        全神経を傾けました。懸命にヨミ結論得て白1です。

        下の白一団の代わりに左上黒数子を下さいという手で

        黒a受けが普通だが白bを用意しています。これは

        イとロが見合いで黒困る。白1は唯一の打開策でした。

振り変わりは黒技あり

        伊東さんも懸命にヨンだと思いますが下の白を捕獲し左上

        黒をを助ける手段は無いようです。白1(4の右)に黒2は

        仕方なく白3が好手で以下7まで捕獲となりました。

        白地増えて利益は30目超えます。ただ黒8トビでと拡大した

        下辺黒地収穫利益は40目超え。黒技ありの振り変わりでした。

        ◎後半形勢不利とみて右下で白が乱暴手段を打ち黒はほぼ咎め

        いたがポカ、大見損じがあって白逆転となりました。

        内容は勝たれていたと思います。また来月よろしくお願いします。