今井七段三子局(死活徹底検討)

本局は最後打掛けとなりました。打ち継いだら良い勝負だったと思います。

その後、会長との互先局。久し振りの実戦を経験されていました。先ず画像を。

  終局図:左上一帯は果たして?(白番)

         ここか数手打ち打掛けを提案した記憶あります。

         検討ではコウになり左上で黒が小さく生きてヨセ勝負の

         図がありましたが画像なく記憶消え思い出せません。

         改めて検証してみます。なお実戦ではないので悪しからず。  

仮の図:微細か

         白1はかなりの妥協。黒2で半分逃げられます。ただ

         下の白3イ・ロ二子取りがすこぶる大きい。黒4抜き

         デカいですね。白5囲いとなるでしょう。右上黒9に

         回り果たして地合いはどうなっているのか。数手前に

         右下を白×19子も抜かれているので白負けと見ていたが

         実際は細かそうです。(×は黒の抜き跡、△は白の抜き跡)

全取り目指すとコウになりそう

         白1は全部捕獲の意図。しかし味が悪い。黒2ヒキが

         あります。白3~7で中は捕獲だが黒8ツケコシあり。

         以下黒14まで示しますが黒a防ぐ白aなら黒×でコウ。

         コウ立ては白皆無の盤面。黒は下辺に黒イのコウ立てあり。

         ◆見ての通り白はコウ立て皆無の盤面。これは白負けそう。

         では序盤~中盤を振り返ってみます。

 序盤(黒50手目はどこに打ちますか?)

普通が一番か

        左上ですが案外普通の黒1オサエが簡明でした。白2に

        厚い黒3コスミ。左辺白4とヒラいたら黒5打ち込みと

        強気で良いです。白6には黒7でポイント得ています。

        なお左上ですが黒aでほぼ治まり。逆に言うと白aが

        厳しい攻めにならぬよう注意は必要。

オシは良き反発

        工夫の黒1~5は軽めだが薄い。黒3は打たず棒ツギが

        勝ったと思います。右上の白20は打ち過ぎ。今井さんが

        黒×など柔に応じるわけはなく黒21は当然の反発です。

 

ノゾキ持ち込みは黒良し

        白1受け黒2、4と出切られる。△逃げは無理そう

        なので白5だが黒6となり持ち込み。これは白悔しい。

捨て石利用目的の白三々

        右辺は白二段バネしたがあっさり二子取られて白損。

        今井さん咎めました。続いて黒1とツイだけど・・・

        失敗した白は白2三々でやる気が出ました。この手は

        捨て石で回りをまとめようというもの。元々隅は▲より

        黒A犬の顔が厚い意味ある。対し黒×は白aで不可。     

白希望図・少し利かされだが無難

        黒1サガリは強気抵抗。白2這いが策手。黒3に白4

        キカシが嬉しく白6と封鎖し黒へ圧力をかけます

        黒7を省くと図では教えないが(鬼手コウ)あります。

        先手で右辺と下辺が握手すると厚い。狙いの右×が霞む。

        形勢は黒良いけど白8と迫り石の効率は白です。

実戦:『ハネて三目の真ん中』は失着

        黒1、3は悪くないが白4に黒5だと白6、8で手に

        なります。部分的には初手黒9や黒11でコウですが白は

        元々黒地で損も少ないので気楽。黒11はポカ。白12で無条件

        生きとなり黒大損です。黒5で良き打ち方ありました。

隅を生かして主導権が

        黒1、3が明るい手でした。白4に黒5とツイで隅の白へ

        生きてくれと促す。取られると持ち込みなので白6、8

        だが黒9叩きが気持ち良い。白10にはじっくり黒11で

        右辺白を睨みます。右下は黒イ、白ロ、黒ハ、白二のコウ

        が残っているが白は手入れする暇無さそう。

コウに勝っても中手仕留めは味悪

        詰碁的には黒1~7が正解手だがこのコウは仮に黒aと

        黒が勝っても中手の白は手数長いので攻め取りなど味残り。

        部分的にも白8コウ立て黒9ツギに白10と白取り番になる。

        勝ったら味良く仕留めるコウが実戦的。次の図です。

部分的にはこのコウが最善

        実戦では黒1と三目の真ん中に打つ例が多い。白2(a)

        黒3、白4,黒5と進みます。このコウは黒が白4を

        抜いて勝つのが一級品。隅がすこぶる味良いですね。

        ただ左上に白6とコウ立てするでしょう。黒悩むはず。

        ※隅の白を取りにいかず一番。次図を見て下さい。

隅は保留する賢明策お勧め)

        白が一線サガリしたとき『無視』が一番。

        黒1と外へ出るのです。左右白を割るのも兼ねています。

        直ぐ白2と手をかけたら満足。さらに黒3と闊歩しましょう。

        右下白が生きたけど外の黒が強ければ白は空しさ感じるはず。

        全局を俯瞰することは本当に大事ですね。

  

        ◎これからも見応えある場面出るのですがこれ以上ないという

        ほど右下を徹底解説しました。実戦に必ず役立つので考え方を

        身に着けて下さい。今年は今井さんに幹事として合宿・大会等

        本当にお世話になり有難うございました。来年は八段になって

        欲しい。よろしくお願いします。良いお年をお迎え下さい。