K氏三子局序盤

          この碁は序盤が大きなポイントでした。

          そこに絞り解説したいと思います。

黒10トビが含む好手たち(A~E)

        二子・三子局で星からサガリ(白15)を多く使用して

        いますが直ぐ黒16と両ガカリされたのは初。厳しい棋風

        K氏らしいなと感じました。どちらの黒も堅めたくないと

        白7コスミ。8二間は当然。次の白9で黒2をハサム

        作戦もあるが一子動かず右上白2を攻めてくるでしょう。

        白8二間に打ったらさらりと黒9トビ!普通ですが次に

        (黒Aトビマガリ・黒Bケイマ・黒Cスベリ・黒Dコスミ

        ツケ・黒E旗立て)という良い手をたくさん含んでいます。

        ◆私は黒Dで根拠奪われるのが一番嫌だったので・・・

白迫りへの黒対応は?

        白11スベリを急ぎました。受けずに黒12構えがカッコイイ。

        二間ヒラキよりも左上白へ強くとの意図。白13黒形の急所で

        同点へ黒が旗立て丈夫にするのを防ぎつつ白イ、黒ロ、白ハの

        一子分断を見ています。ここが本局の大ポイント場面。

        私は数百局このような場面に遭遇しましたが考え方は二つ。

        ①ガッチリ受けか②手抜きし捨てて打つです。    

本手の受け(辛くない)

        受けるなら黒1が本手。辛く見えるがさにあらず。

        がっちり丈夫にし白への攻めを見るのです。白2進出なら

        黒3と喜んで受けます。上の黒は強いので心配無し。

手抜きで標的変更

        下地棋風だと先ず手抜きから考えます。ケイマから

        二間にヒラいてみたい白2ノゾキには黒3とツグ。

        白4で一子取られるけど大きいとは思わない。右上を

        黒5と打ち標的を変えるのです。白6なら黒7と応じ

        競り合いだが五分より白を攻める気持ち。その理由は・・・

黒一子の利用法

        取られた▲には利きがある。黒1コスミです。白2なら

        黒3這いで眼を削ぐ。白4オサエは失着。黒5ハザマが

        すこぶる厳しく白×ガタつきますね。白4は白aくらい。

        そのときは黒bじっくり攻めも良さそうです。

        ※左上白は比較的に強いのに▲を獲得したため右上白が

        弱くなる。黒が一子捨てても損でない理由です。

力関係白に傾く辛い進行

         黒1コスミは油断か。白2ノゾキされたとき考慮され

         仕方なく黒3だが白4突き出しにさらに考慮。苦慮され

         て打たれた黒5、7は苦渋の選択。輝いていた中一間

         トビを見捨てる進行は『泣いて馬謖を斬る』想いだった

         でしょう。黒×無力化したので左辺黒イ・ロ白8!

         気分的に黒が勝てない碁になった感じ。黒5では・・・

困ったら手抜きという発想

       白に突き出されたときオサエるか緩めかの二拓に見えるけど

       最善は手抜き黒1大ゲイマがお勧め。

       白2ブツカリなら黒3と左上隅を減らし根拠得ます。この手は

       白の根拠を奪ってもいる。活力消えた黒×は×切りで活用や

       黒aトビで「白さん×にツイで。」と利かす楽しみあり。

       白2では白×ノビが正しいが同じく黒3。白は厚みをどこで

       働かせるか簡単ではありません。困ったら手抜きは必修科目。

 堂々はオサエ。ただし戦いは楽でない

        Kさん黒1オサエを検討していたと察します。白2切りに

        黒3は省きにくいので白4切りから6と進む。白は分断

        されたが強い石。黒三子は目的失って鬱になりそう。

        この図を却下した判断は正しいです。   

大胆捨て石案(参考に)

        実戦は白△に黒×を逃げる、シノグ展開が長く続きました。

        これから示す図は大胆案なので参考程度で聞いて下さい。

        黒1カタで処分する白2、4には黒5、7です。白8となり

        黒×見捨てたけど白地は25目ほど。黒9と次のステージで勝負。

        白は「取らされると気分は良くはない」上の白厚みも今は沈黙。

        心機一転されるとKさん力発揮しそう。如何でしょうか。

        ◎来月は逞しくなって挑んで来るはず。楽しみにお待ちしています。