S氏二子局・ヨミ切りの一場面

   この碁は珍しく序盤は白が圧しました。しかし狙い過ぎた為に這う這うの体と

   なってしまう『貪れば勝つを得ず』を肝に銘じたい。始めます。

双方天空覇権目指す立ち上がり

    S氏は早き場面で中央付近に打たれますが不思議と必ず戦いに役立つ。

    今回は天元斜めの黒8!この手に感化し浮かんだのが同位置の白9です。

    予想は黒イか黒ロ。全然別の碁になります。私だったら・・・

右側へのトビが有力に見える

     右側黒1とトビます。白を割りたいとの意志。白2に私だと黒a。

     S氏の棋風だと柔らかな黒3か。白4に黒5と厚く進めそうです。

     この展開だと右一帯ペチャンコなので白6と打つでしょう。

実戦 少し白面白そうな進行

    白8まで気分良き進行。上辺▲に対し全ての白石が好位置にあります。

    ここで▲動かず黒Aや黒Bとされるかなと予想。動けば白ペースなので。

    黒3でお勧め案あり。次の図で。

二間受けなら穏やかでした

    黒1受けが名調子に見えます。白2と進出止めようかと思ったが黒3と

    割って来そう。白2自体が腰伸びて薄い手。二間一押しでした。

白番 かなり成功した場面 さらに狙うか自然か

    ▲のために黒A削減を選択されたが反動で左辺破れて黒aとツイだところ。

    S氏滅入っていたと思います。ここで追い打ちをかけようと白×が実戦。

    ▲を攻める風ですが実は左上隅を絡みにして捕獲を企んでいました。

    しかし大貪り。ここから白は奈落へ突入します。自然流は・・・

決めて順風。これ以上求めるは阿漕

    白1で十分でした。黒2なら完璧生きだけど。白3も利かされかなり辛い。

    左上白は安泰したので白5と割っていく。形勢ですが二子のハンディ相当

    減じていたでしょう。

白無謀な仕掛け、黒最強の抵抗

    上辺で折衝すれば左上黒へ影響するだろうとイメージで打っていたが

    何時まで経っても左上へ手が出せない。狙いの白イは黒ロで無理です。

    右上白△が孤立し中の白も薄くなってきました。それにしても黒16は

    豪手。×切り怖くないとの主張。

的確な黒、白眼形への油断

    白1切りから黒の動きでは左上を捕獲と目論んでいたけど黒6が良い手。

    白7、9もさほど効果上がりません。見てのとおり左上黒より中央白の

    方が物大き危うくなっています。形勢は黒断然良しヘ傾きました。

    打ち惜しんでいた左上を黒18と打たれてもまだ余裕ありました。しかし

    白33ツケに黒aと見ていたが本当にあまい。驚きの豪手段炸裂します。

見た目無理そうな驚きの攻め

    S氏放ったのは黒1ブツカリ。見た目やり過ぎだなと白2にオサエた時

    黒3助け出し!「あれっ見損じかな。黒潰れたのでは。」と私。それは

    白4からシボられ団子になり黒の眼形が消滅しそうだから。この時点、

    終了したV氏の碁を検討しつつヨンでいたのですが・・・

これは何だ?

    着手少し進み、黒ホウリコミに白1と抜いて黒2サガリと進行。私の

    ヨミ筋通りの進行で次に追い落とし避ける白Aを打つ予定でしたが・・・

    黒Bに切られると白が攻め合い負けとわかり驚嘆。S氏は持ち時間を

    使い全てヨミ切っていたのです。黒の勝つ図を二つ示します。

黒一手勝ち その1

黒1手勝ち その2

     自分に呆れました。と同時にS氏のヨミの正確さ深さを実感。

     泣く泣く・・・

実戦 絶望的進行

    白1ツギ黒2追い落としが実戦。しかも白3と後手。黒4出を打たれて

    投了したい気分でした。地合いですが右上隅が黒地でないとしても

    全黒地足すとは50目近くある。白の確定地は左上6目。ということは

    下一帯に単独で白地40目は必要。それは無理というもの。

     ただS氏の持ち時間は残り10分切っていました。中の黒安全確実手を

    選ぶと良かったのですが黒14は待ってましたと白15、黒16に白17で混沌。

堅い手なら勝利確定

     正解はいくつかあると思うが一路控え一間なら紛れなく勝利でした。

     白△にもう一手かけて40目以上は至難です。

     ◎時間切れ白勝ちは申し訳ない気持ちです。ただ内容あった一局でした。

      お疲れ様でした。今年もよろしくお願いします。