幽玄の間 T氏三子局

 13日22時10分最後の設定に先月快勝されたT氏からの申し込み。本局は

 前回以上に真剣さが伝わりました。黒の時間切れになったが形勢は黒良かった。

 先ず終了後の質問から先に画像で答えます。  

実戦:黒1、白2進行は黒悔しい

 黒1とハネたので弱点を白2と補強。中の白へきつい攻めが無いのでは黒不満です。

 「黒2はどうなりますか。」との質問。検証します。

質問の黒1を検証(最強だが隅の地は損)

 白2とツグ予定でした。勢い黒3出となるでしょう。白4切り、黒5に白6と

 ノゾく。ここが黒の分岐点。三子助け頑張るなら黒7、9を選ぶ。白10出には

 黒11、13で隅を差し上げ黒15。左辺白危ないので白16なら本手。そこで右下を

 黒17とシマリたい。白18ツギは黒19で戦う。地は損したが黒やれるでしょう。

三子捨てて左右得し簡明

 白6にあっさり黒7とツグ手もあります。白8には両アタリもあるが黒9も

 意味あり。白12と手をかけさせ黒13シマリへ回るのです。白実利小さく簡明。

 ◆他にも変化ありますが黒アテる手は有力で良かったが結論です。

地とのバランスある模様作戦

        左上黒4コスミは令和で見かけなくなったが簡明なのが利点。

        黒10は反発。棋書に黒20が厚いとあるが右上に白があるとき。

        白11・13のときじっくり考慮し黒12や・14・16選択されました。

        景気良く拡大より『地も引き締めた模様』をとの意図と察します。

        白17切りは意地ですが逃げてくれず黒18~22まで当然。白23に

        黒24大ゲイマは切った白を勢力をあまくする好点。同意者多いと

        思います。ただ白25ノゾキが飛ぶ。悩まれて黒26ツギでしたが

        白27ツケが関連手。サバけそうな感じしました。黒24では・・・       

 もう一本オシてケイマ参考程度に)

        昭和の教えで石の流れだと黒1ともう一本オシて黒3の

        ケイマです。模様を目一杯広げ白の削減を待ちなさいと。

        勢力増したので白4ノゾキは利かず黒5とサバキ封じます。

        気になる上辺ですが白aには黒b、白c、黒イ、白ロ、黒ハで

        右側も黒模様期待出来る。左側だけでないのが黒3の価値

        ◆でも白地35目超える確定地。地が心配な方には向かない。

         比べ実戦右上シマリはバランス取れた安定感あります。

種石取ってとの『地に辛メッセージ』

        白の眼形奪いガンガン攻めでなく「生きたいならどうぞ。」と 

        T氏じっくり攻めて来られました。正直取りに来てくれると

        私は嬉しい。黒7に白8は反発だが数手後の黒17に痺れた感じ。

        ▲取りなさいとの声で余程の利得無ければ応じたくないが黒×は

        白の心配の種になっています。黒19で白20を誘い黒21補強はセンス

        センス良さ。左側一団は白から打っても完璧二眼無く絡みぽい進行。

        右上白22は黒×牽制と三々を狙っていますが黒23が好手で困った。

        この手は白を攻めるというより回りの黒を固めたいという目的。

あまくなった進行

        この譜で初めて疑問手が出ました。それは黒4オシ。白5と裂かれ

        形になり攻めが減退。そして黒10。黒11を決行したかった。

        左下白ツケ二段にどう対応するのが良いか。黒イ、白ロ。黒ハは

        白二となり黒22圧力かからず冴えない。黒×二つも白ロで今一つ。

        T氏一番地に辛い対応をされます(次図)おそらく最善。     

実戦:無情の時間切れ

         ここはT氏打たれた地に辛く黒1、3カミが最適です。

         白4が形だが瞬間黒5アテがうまい手。余程黒一子抜いて

         勝負と思ったけど左辺白一団危険になる。白8と自重させ

         黒9と逃げて白12と進んだときに時間で終了となり残念。

         本局は一手もおろそかにせず時間気にせずを貫かれました

         最終手まで信念貫かれれ立派だったと思います。

         この後の黒の良き打ち方を想定してみました。

想定図

        黒1ツギ、白2ブツカリで一段落。中の黒×数子は動けないが

        左下に相当な実利得て先手が取れました。右上ですが黒3ツケ

        良いと思います。下ハネなら黒5タケフ。白4が省けません。

        この数手は左上から中への黒一団へ応援になります。なお白4で

        白5上ハネなら黒4サガリで実利得つつ断点を睨みます。

        右下も形決めたい。黒7が面白そう。白8なら黒9、11を先手で

        キカシて黒13。嬉しさ感じず白14ならば右上黒15実利の要領。

        地合いは黒が堅く15目はリード。勝勢と言えるでしょう。

   

        ◎お疲れ様でした。短手数でも有益内容の碁あります。次回も

        楽しみにお待ちしています。