栗林五段は手堅さと腕力両面を兼ね備えてきました。その
ためか指導碁では中押し負け増えて来たけどその姿勢必ず
強くなる。先ず最後の勝負所、黒が勝負を挑んだ場面を。
部分図で出題。右上で損されて黒が勝てない形勢でした。
中の攻め合い 見た目は楽に白一手勝ちに見えるが・・・
『白先攻め合いどうなりますか。』答えは最後に。
立ち上がり黒2、4。栗林さんは一間受けも多い。左上
黒20まで文句無しと言いたいが黒18、白19は保留すべき。
左下白25に黒26が鋭い。単に隅受ける黒28コスミよりも
石が張っていて働いています。横ツケは才気ある手。
左辺マゲる前に黒1とハネたら満点でした。白2と
代わり黒3なら攻めに役立ちますね。『横ツケの心』
黒1ケイマ良し。なのに黒3、5は考え過ぎ。黒3では
左辺白一子かまわずに黒aノビで攻めていくところ。
▲は既に厚い姿なので白×を喰うと凝り形になります。
右下黒9から11は調和的発想。手厚さも感じました。
右上白12ツケは乱暴に見えるけど定石。対し黒13トビ。
その意図を察するとわからないから相手せずでしょうか。
しかし白14、16となると黒地限定し右辺勢力拡大となる。
白ツケへの基本対応(定石)は2つ後の図で示します。
中を白がボウシし威圧したときに黒1と分断したかった。
本来白aと連絡するのが普通。怠りを咎める意味もある。
白2で黒の根拠も失うけど黒3、5とここをワリツグ。
断点二つあるが私だと白6課か。そこで攻めはケイマと
黒7!左下白封鎖しています。断然黒が良しの展開。
白△ツケは互先でも多く使用されています。その意図・
希望は『黒地限定させ白勢力を築きたい』となる。なので
黒1が反発でお勧め。白2で黒割られるけど黒3、5と
中へ一歩一歩力強く進みます。白6形には黒7進出。なお
大事なことは黒弱いと見ない、いつまでも白薄いが正しい。
黒1は根拠の要点。黒安泰ですが白2で白も安心。なので
黒3~7は分断は勇猛だけど白16まで白にも余裕あります。
黒17が失着。薄いと感じ黒19と手をかけたが遅れました。
黒17では・・・
黒1が先手。本手は白2となる。そこで左辺黒3へ回りたい。
ここを打てたら白を分断した利益あったとなります。
がっちり黒1で▲補強。例え後手でも味わいある手です。
では冒頭の攻め合い検証結果を発表します。結論は
『白番で攻め合いはコウ』
白の手数ですが×と打っても伸びず三手。黒の手数は
一見三手ですが不思議と伸びます。白初手はイかロ。
実戦は無条件で黒攻め合い負けとなりましたが改めて検証。
すると白1駄目詰めに黒2、4という妙手段を発見。
白9で伸びない感じだが×が命綱で黒14までコウです。
なお白5、7は先手ですが手数は三手より増えません。
何故打つかと言いうと左の黒三子へ白ホウリコミという
コウ立てが使えるから。双方最善の図と結論。
白1と詰めるのもある。その時も黒2、4が良い手。
白5とツグよりないが黒6とサシコミ攻め合いと進む。
以下黒10まで黒取り番のコウ。なお部分的には白×という
側コウあり白取り番となるでしょう。
◎栗林五段が積極的に打つことで指導碁は見応えある場面が
増えてきました。本局次の指導碁が控えていたので局後検討を
後回しにして結果その場で出来ず申し訳ない。配慮感謝します。
この内容は実戦対局に役立つと信じます。頑張って下さい。