島五段無念局

   本局は序盤~中盤とても内容良く勝利して欲しい一局でした。

   一手の打ち過ぎで黒が苦境に陥りますが白が決めに行ったときに

   素晴らしい好手を放ちます。その場面を画像で。   

土壇場での好手黒ハネ(13の六)

 盤面左下から斜めに俯瞰して見て下さい。先ず右側に凄い白一子アタリなって

 いるのがわかるでしょう。白はこの石を逃げることが出来れば下から中へノビた

 黒大石を仕留めることが出来る。ただ中の白に弱点あったので先に左下~左辺の

 黒を脅かし守ろうと計りました。しかし今打たれた黒の手(13の六)が凄い手。

 この手の素晴らしさの詳しい説明は省きますが白はその石の左右どちらに受けても

 右一子逃げるのが不可になっているのです。しかしこの後ミスされ無念局。

 無理手段での勝利で申し訳なかった。では序盤から解説します。

頑張り手段・ツケノビからオシ

       基本ツケノビ定石の黒8、白9交換は損が定説だったが

       黒10オシならば打てると見解が変化。白イ、黒ロ、白ハの

       出切りは×断点あり。白が受ければ黒二間に守り打てる。

       そこで白11を採用。反対ツメもあるが黒12、14は穏やか。

       左上で定石進行。実戦は黒aで普通。黒b切りを検証します。

白の辛抱図 実利が勝り黒打てる

        黒1切りに白2は辛抱手。黒9まで穏やかなワカレとなる。

        中の白はノゾキ利き見られ厚くない。こうなるなら三線這い

        よりも黒は実利多く勝る。白2で怖いのは・・・

  白のアテオシはシチョウ黒良しで無理

        黒1切りにシチョウ白良しの時は白2、4が最強最善だが

        この局面では無理。黒5~9が咎める手。白18のシチョウが

        右下▲二つが役立ち黒19逃げとなり成立しません。

        車の後押しと嫌われた▲はシチョウ関係有利になる利点あり。

左下で気合的変化勃発

        かなり進行した場面。黒1マゲが力強い、白2も好所

        だが黒3で安心となるが黒aが味良く勝りました。

        ここまで黒に大きな悪手らしき手はなく優勢堅持。さて

        左下隅です。黒5は逆オサエなら簡明でした(後の図で)

        黒9は隅の実利得たいとの意志ですがここで白8と出る。

        ◆島さん少考。もしやと思ったらやはり。柔軟でした。  

白の希望図

        隅をそのままにして白△と出た意図は黒1オサエを期待し

        白2、4と噛む目的。黒7まで隅を取るなら白8切りが

        痛烈となる。黒イは白ロ。左辺も繋がってなく白良し。

互角の大変化

        実戦は黒1。島五段は大会のときAクラスで打ってもらう

        ことが多い。それは戦闘力&上手に屈せずの気合良さから。

        勢い白2~黒11まで変化。なお白4は軽い様子見です。 

        この進行互角だと感じていました。白12切りには・・・      

逆から二段バネが適切で簡明

        実戦進行の前に白三々に逆オサエからの二段バネの図を。

        黒11まで(黒5はa)ほぼ必然。△厚いので地の取り合いの

        方が棋理に沿っていたと思います。 

実利獲得の方が流れで打ち易そう

        黒1抜きが石の流れでした。白6までとなり隅の実利を

        得られます。そこで白中央拡大を牽制し黒7、9くらい。

        後半勝負だが簡明でした。

 黒9カカエなら厚かった 実戦黒×は失着

         黒1は中の黒二子大事との考えだが白8まで隅を生きられ

         地があまい。ここまで実戦ですが次の黒×は悪手。手厚さの

        完了黒9が肝要でした。白9ノビ出しの厳しさを軽視した

        ため急に黒苦しくなる展開。

       ◎ここから潰れずによく頑張ったと思います。冒頭画面のように

       土壇場での鋭さも増しています。今後は自分のみ力出すことを

       考えずに相手の力を封じる厚い手も打てるようになって下さい。