加藤六段三子局

 本局は三子にして捨てるツケ二段定石未遂が後半に大きく影響しました。

 他の箇所は石が張っていて強くなったなと感じた場面多かった。先ず終盤画像を。

白番:地合いは黒が大変そう。右上隅の形に注目

      右上はツケ二段定石から生じた形だが正しい図と少しだけ違います。

白からヨセる手段が成立

        後に実戦で打たれた白1が良いヨセになりました。黒2は

        やむを得なく白3で右辺は白地になりその分リードと。

        白△に石が存在し白×二子が白aと連絡可能になったために

        黒の眼形具合に関しても大きな影響を及ぼしました。

        では序盤から解説します。

立ち上がり

         黒8打ち込みは白が戦うかサバくか様子見の意図。

         白9、11ツケ二段はサバキの方針。白15は実利選択で

ツケ二段定石の一つ

         黒1と三子にして捨てるのが良く白4まで定石です。

         増やした捨て石効果で黒イ、白ロが利く。それは白×の

         活力を削いで外の黒の厚さが増し嬉しい。続いて黒A

         三連星やB・C・大場、打ち込みの黒Dも有力です。  

右上に配慮した手

       黒18は失着。白19となり前図との比較を。続いて順当に

       進行していますが黒26の位置に注目。右上が気になったの

       でしょう。放置は白から×急所やa・bの狙いあります。

実戦:厳しい黒の攻め

        黒1で根拠を拒否、黒3サガリとサバかせない。白4に

        黒5は緩まず攻めるぞの意志。白6は一路控えでしたか。

        それは黒7がきつかったから。11は野性的だが黒13が

        勝ります。弱点を突く白14に手が止まる。黒×切りは白a、

        黒b、白cとシボられ感じ悪い。加藤さんは・・・

白最強手黒の次の手は?

        黒1ツギを選択。白2に黒3と強気です。黒3は黒4なら

        穏やかでしたが気合良し。しかし白5、7は結構きつい。

        次の黒の一手が大きなポイントでした。正解は・・・

無難だが実利損で白不満

        その前に遡ります。黒1に白2ハネなら安全でした。

        黒3に白4で脱出出来ます。しかし黒5切りがかなり痛い。

        実利大で白一団へ黒イ・ロの攻めが楽しみ。白不満でした。   

最強手は二線コスミ

        検討で黒1を示した瞬間「そうか。」と眼を輝かせた加藤六段。

        危なく見えるけど黒イ・ロ。ハを含み最強抵抗でした。   

這いからハネ・乱戦だが黒打てる

        白2と止めて来たら黒3と這う。白4に黒5ハネが肝要。

        切り防ぎ白6なら黒9まで連絡します。白10には黒11と

        戦う。乱戦ですが白苦しく加藤氏剛腕が炸裂しそう。 

頼りになるグズミ

        黒1に白2オサエなら黒3グズミが強烈。白困っています。

一応は白満足なワカレ

        黒1は妥協手。黒5まで実利と外勢のワカレですが攻めが消滅し

        白満足なワカレ。ただし大損でなく形勢は黒良し。白8、10は

        左中黒厚みを消しつつ右辺白の守りです。すると黒11打ち込み。

        この手は勇猛でここから黒は頑張り一定の成果を上げます。ただし

        左辺で失敗したばかりの打ち込みは相手に焦りを悟られる嫌いあり。

        勝負師的なアドバイスですがここはいったん冷静になって・・・

入らず白を焦らす(参考に)

        黒1フクラミがお勧め。「どうぞお囲い下さい。」という態度。 

        白2は満足というより仕方ないという気分。ここでそっと・・・

        左上へ黒3と一手かける。「アッ、先に入るのだった。」と

        白は臍を噛む。【守りに守りで返す】相手へのプレッシャーに

        なること結構多い。対局折衝で一段落した時に守りにも一考を。

実戦画像:右上黒へジワリと白の圧力

  左上を白に侵略許す。その過程で頑張って白一子もぎ取ったが右上が孤立。

  ここで序盤のツケ二段定石の失点が影響しました。すっきり治まるのは

  難しいので不安残る展開に。

  ◎残念局となったが強くなる有益箇所多かったと思います。栄養吸収し次回は

  会心勝利局目指し頑張って下さい。